料理の豆知識

【重箱別に紹介】おせち料理に込められた意味や願いとは?

2021年9月19日

本記事を執筆している9月。

近所のスーパーでは、ちらほらとおせちの予約受付が始まっています。

おせちといえば、重箱にたくさんの料理が敷き詰められていて、まるでコースやビュッフェのような贅沢感を感じますね。

食べるだけでも楽しいですが、実はおせち料理には一品一品に幸せを願った思いが込められていることをご存知でしょうか?

今回は、そんなおせち料理に込められている意味についてご紹介します!



おせちとは?

おせちとは、新たな一年を迎えるにあたり健康や幸せ・作物の豊作を願って用意する、お正月に食べる伝統的な料理です。

また、家事に忙しい主婦(主夫)が、お正月の三が日くらいは休めるように、保存の効く料理を重箱に詰めて仕事から解放する為の意味もあります。

最近では和食のみならず、洋風や中華風のオードブルのようなおせちも人気です。

おせち(重箱)の構成

おせちは、「めでたさを重ねる」という意味で「祝い肴」「口取り」「焼き物」「酢の物」「煮物」の5種類の料理を重箱に詰めます。

重箱の構成は、地域や説によって異なる場合があります。

以下に代表的な例をまとめました。

パターンA

【初(一)の重】祝い肴・口取り

【二の重】海の幸を使った焼き物(焼き料理)

【三の重】酢の物や和え物

【与(四)の重】山の幸を使った煮物

パターンB

【初の重】祝い肴

【二の重】口取り

【三の重】海の幸を使った焼き物(焼き料理)・酢の物や和え物

【与の重】山の幸を使った煮物

パターンC

【初の重】祝い肴・口取り

【二の重】海の幸を使った焼き物(焼き料理)

【三の重】山の幸を使った煮物

【与の重】酢の物や和え物・煮物(重箱のスペースが余った場合)

パターンD

【初の重】祝い肴・口取り

【二の重】海の幸を使った焼き物(焼き料理)・酢の物や和え物

【三の重】山の幸を使った煮物

また、上記以外にも「五の重」を使う場合があり、「福を詰める場所」としてあえて料理を入れなかったり、料理を補充する為の控えとして使用するなど、これも説によって異なります。(ややこしい

詰め方に迷ったら地域や家柄に合わせたり、料理のバランスを考慮してパターンを選択するのがおすすめ!

おせち料理に込められた意味

※本記事では、パターンAの詰め方を元に各料理の意味を紹介します。

初の重

初の重には、「祝い肴」「口取り」といういわゆる酒のつまみになるような料理を詰めます。

祝い肴

祝い肴には「祝い肴三種」と呼ばれるものがあり、この三種とおもちがあればお正月を迎えられるといわれています。

祝い肴三種の内容は、地域によって少し異なります。

祝い肴三種(関東)

  • 黒豆
  • 数の子
  • 田作り・ごまめ

祝い肴三種(関西)

  • 黒豆
  • 数の子
  • たたきごぼう
黒豆

黒豆は、黒大豆をじっくり煮た料理です。

黒は昔から邪気を払う色としていわれ、新年のお払いに。

豆は「マメに働けるように」という語呂合わせからきたゲンかつぎです。

また調理の際、黒豆にシワが出るまで煮て、長寿(顔のシワ)を祈願する意味もあります。

数の子

数の子はニシンという魚の卵のことで、塩抜きした数の子に醤油や出汁で味付けをしてコリコリした食感を楽しむ料理です。

ニシンは「二親(母と父)」

卵は子どもに例えて、子孫繁栄や両親の長寿を祈願する意味を持ちます。

田作り・ごまめ

田作りは、カタクチイワシを醤油・みりん・砂糖を使って甘辛く味付けをした料理です。

田作りは豊作を祈願する意味を持ち、カタクチイワシを肥料に使った田んぼが、その年に豊作だったこと話が由来とされています。

また地域によっては、「五万米」と書いて「ごまめ」と呼ばれることもあります。

たたきごぼう

たたきごぼうは、ごぼうを叩いて繊維を開き、醤油・みりん・酢であえたさっぱりした味わいの料理です。

ごぼうは土の深くに根を張る野菜の特徴から、家族や家業が土地に根付いて幸せや安定を祈願する。

調理の際に、ごぼうを叩いて繊維を開く工程を開運と例えてゲンかつぎの意味を持ちます。

口取り

口取りも同じく酒のつまみとしての役割を持つ料理ですが、祝い肴と違って甘い味付けの料理が口取りと呼ばれます。

昆布巻き

昆布巻きは、魚を昆布で巻いてかんぴょうで結び甘辛く煮込んだ、旨味のある料理です。

こちらは、昆布(こんぶ)と「よろこぶ」の語呂合わせで縁起が良いとされ、おせちで使われます。

また、昆布を「こぶ」→「子生(こぶ)」に当てて子宝を願う意味もあります。

昆布で巻く魚をニシンにしたら「二親」と「子生」で縁起の良い組み合わせになります!
伊達巻

伊達巻は、白身魚やエビのすり身を卵と出汁で合わせて、みりんや砂糖で甘く焼いた、ふわふわした玉子焼きのような料理です。

調理の時に「まきす」と呼ばれる調理器具で成型し、出来上がった形が巻物(書物)に似ていることから、学問成就を祈願する意味を持ちます。

錦玉子(にしきたまご)

錦玉子(錦卵)は、ゆで卵を黄身と白身に分けて裏ごしし、二層に分けて蒸した料理です。

錦玉子の「錦」は、黄身と白身の「二色」を掛けた言葉です。

なぜ「錦」なのかというと、「錦織り」と呼ばれる金銀の糸を使った高価な絹織物から来ており、黄身を「金」・白身を「銀」に見立てて、錦織りで使う金銀の糸と掛けています。

金銀財宝を連想することから、縁起の良い料理とされています。

紅白かまぼこ

紅白かまぼこは、色や半月型の見た目が初日の出と似ており、縁起の良い料理とされています。

紅白という色合いも縁起の良い色で、紅は喜びや魔除け。

白は神聖さや、清浄といった意味を持ちます。

お多福豆

お多福豆は、そら豆をじっくり煮た料理で祝い肴の黒豆に似ています。

そら豆のふっくらした形が、おかめ(おたふく)に似ていることからお多福豆とされています。

お多福という名前の通り、たくさんの福を呼び込むことを祈願する意味を持ちます。

栗きんとん

栗きんとんは、裏ごししたさつまいもに砂糖やみりんなどで甘く仕上げて栗の甘露煮を加えた料理です。

栗きんとんの色合いが黄金色で宝を連想し縁起が良いとされており、金運祈願の意味を持ちます。

金柑の甘露煮

金柑の甘露煮は、粒を丸ごと甘く煮詰めた料理です。

金柑を「金冠」と例えたり、黄金の粒のような見た目から、こちらも栗きんとんと同じく金運祈願の意味を持ちます。

二の重

二の重は、海の幸がメインの料理です。

保存が効くように、刺身などの「なまもの」は入れずに火を通した「焼き物」を入れます。

ここでは、火を通した料理を焼き物と呼ぶそうです。
タイ

タイは、「めでたい」でお馴染みの縁起の良い魚です。

エビスビールで有名な七福神の恵比寿様がタイを持っているのも象徴的です。

おせち料理では、祝い事で提供される「姿焼き」が定番とされています。

姿焼きは頭から尻尾まで丸ごと焼き上げる料理ですが、重箱に詰める際はスペース都合上切り身のみを詰めて、入らない部分は別皿に盛っても大丈夫です。

ブリ

ブリは、成長によって名前が変わる魚で「出世魚」と呼ばれています。

この特徴から「将来、仕事で出世できるように」という願いが込められています。

料理では「ブリの照り焼き」が定番されていますが、地域によってはお雑煮の中に入れることもあるそうです。

エビ

エビは、火を通すと背中が丸くなることから長生きできるように(腰が曲がる)という長寿を願いが込められています。

料理では、「海老のうま煮」という料理が定番です。

海老のうま煮は、火を通すことでエビが赤くなることから色合い面でも縁起が良いとされています。

三の重

三の重は、酢の物やあえものといった箸休めになるような料理を詰めます。

紅白なます

紅白なますとは、大根とにんじんをお酢や砂糖などであえたさっぱりとした料理です。

紅白は、にんじんが「紅」・大根が「白」の色合いによる縁起の良さ。

そして、両方の野菜が地中深くに根付く野菜であることから「たたきごぼう」と同じく家族や家業の安定を祈願する意味もあります。

また、紅白なますの見た目がご祝儀袋で使われる「水引き」に似ていることからも縁起が良いとされています。

菊花(きっか)かぶ

菊花かぶとは、「かぶ」を菊の花に見立てた酢の物です。

菊は、パスポートや皇室の紋章に使われている花で日本の象徴的な花の一つで縁起が良いとされています。

不老長寿・健康祈願・邪気払いの願いが込められた料理です。

コハダの粟漬け(あわづけ)

コハダの粟漬けは、「コハダ」という魚と雑穀類の「粟」を甘酢に漬けた料理です。

コハダは、ブリと同じく出世魚の一つで縁起が良いとされています。

また、穀類の粟を使うことで豊作祈願の意味が込められています。

与の重

与の重は、山の幸をふんだんに使った煮物を詰めます。

根菜類は「筑前煮」や「煮締め」という料理で使われることが多いです。

複数の具材を一緒に煮込んで作ることから、家族の円満を願った意味が込められています。

ここでは、料理で使われる具材を中心に紹介します。
里芋

里芋は「親芋」と呼ばれる大きな芋から小さな子芋が実ります。

この特徴から子孫繁栄に例えられて縁起が良いとされています。

八つ頭(やつがしら)

八つ頭は里芋の品種の一つで、普通の里芋と違い親芋と小芋が一つにくっついています。

里芋の中では高価な品種とされており、普段の家庭料理よりもおせち料理で使われることが多いです。

里芋と同じく子孫繁栄の祈願や、親芋に連なって小芋がくっついている様子から、リーダー(頭)と例えられて出世祈願の願いも込められています。

にんじん

にんじんは、紅の色合いが縁起が良いとされています。

おせち料理では、梅の花の形に見立ててハレの日にピッタリな彩りを添えることもできます。

たけのこ

たけのこは、成長スピードが早く長くグングン育つ野菜のことから、子供の成長や出世祈願が込められています。

筑前煮以外にも、たけのこ単体で調理する「土佐煮」という料理もおせちに向いている料理です。

れんこん

れんこんは、穴のあいた見た目から「将来の見通しが良くなるように」という願いが込められています。

また、煮物以外にも「酢れんこん」にすれば、祝い肴としても利用できます。

くわい

くわいは丸い茎の先から芽が出た野菜で、見た目は里芋に似ています。

真っ直ぐに伸びた芽に出世祈願を込めたり、「芽出たい(めでたい)」という語呂合わせから縁起が良いとされています。

こんにゃく

こんにゃくは、「手綱こんにゃく」という中央に切れ目を入れてねじった状態で煮物に使われます。

こんにゃくの結び目を良縁や縁結びに例えたり、心を引き締めるといった意味が込められています。

最後に

おせちは、一年の健康や安泰を願う料理です。

来年のお正月は、口に入れた時に込められた意味や願いが、頭の中でちょっとでもよぎってくれると嬉しいです。



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